インタビュー
「聞く・見る・触る」を大切に診察するのは、病気を見逃したくないから
外科の医師だった父が急に倒れ、このクリニックを継いだのは医師になってまだ5年のころでした。教えてくださる方に恵まれ、肛門科について学び、現在は「聞く・見る・触る」を大切に、生まれ育った愛着あるこの地で診療をしています。
医師になったきっかけ
外科の医師だった父とドラマの影響で、救急救命センターの医師に憧れていました
父が医師だったことは大きく影響していると思います。それと、ずっと救急救命の医師に憧れていました。夜間に父の元へ患者さまがよく来るのを見ていましたし、テレビドラマを観て、「こういうふうに人を助けたい」と思っていたのです。でも、父が急に倒れてしまったため、生まれ育った愛着あるここ蔵王に戻り、このクリニックを継ぐことになりました。
肛門科について
今こうして肛門科の診療をしているのは、教えてくれた人たちのおかげです
医師としてかけ出しの頃に勤めていた病院の院長に、私には継ぐ気がなかったにもかかわらず、「お前は継がないといけないから、肛門科も勉強しておけ」と言われ、さまざまなことを教えていただきました。
また、広島に戻ってここを継いでからも、その院長が「勉強せんか」と、岡山県倉敷市にあるチクバ外科・胃腸科・肛門科病院を紹介してくれて、その病院に週1度通い、勉強させてもらいました。
なにしろ医師になってまだ5年で急に父が倒れましたから、継いでからも勉強を続けることができたのは、本当にありがたいことでした。今の私があるのは、その院長とチクバ外科病院のおかげです。
診療で心がけていること
「お話を聞く、患部を診る・触る」をしっかりおこないます
「お尻から出血している」「お尻が腫れている」などの症状でお悩みの患者さまが多く来院されます。診察を受ける患者さまの恥ずかしいという気持ちに配慮しながらも、重大な疾患を見落とさないように、しっかりと「お話を聞く、患部を見る・触る」診療を大切にしています。
また、検査の際は、検査を受けられる方がリラックスしていただけるように心がけています。検査を受けられる方にとっては、何がおこなわれているのか見えない場所です。「カーテンを閉めますよ」「この検査機器をお尻からこのくらいまで入れますよ」など、何をするか・何をしているかが分かるように、声をかけながら検査を進めます。
患者さまへのメッセージ
隠れた病気を見つけるためにも、症状があったらご相談ください
ご自身で痔だと思い込み、「薬を使ってもよくならないと」来院された方が、肛門がんだったというケースがありました。膿がたまっていたり潰瘍性の病気だったりしたケースもあります。特に肛門科は恥ずかしさや「診察を受けたら手術になる」というイメージから来院を敬遠される方もいらっしゃいますが、実際は手術になるケースの方が少ないです。症状がありましたら相談にいらしてください。
ほかにも、きれい好きの方に多いのですが、拭きすぎたり洗いすぎたりで、それがきれ痔の原因になっている方が結構いらっしゃいます。赤ちゃんのお尻の拭きすぎも要注意です。顔をトイレットペーパーでこすったりしないのと同様に、ぜひ肛門もやさしく拭いてあげてください。
また、健康を維持していただくために、40歳以降の方には、1年に一度は健診を受けていただくことをおすすめしています。