痔について
「痔」という病気について
昔から肛門の近くにできた病気を、一口に“痔”と呼んできました。
しかし、それらの症状や治療法は千差万別で、決して同じではありません。
現在の日本においても、国民の3人に1人は“痔”の何らかの症状で悩んでいると言われています。
このように身近な病気であるのに、自分には見えない部分であり、しかも“おしりは汚い、恥ずかしい部分”という気持ちもあって、その悩みを話すことをためらっている方がまだまだ多いようです。
そのため、無理な我慢を重ねたり、安易な自己診断をして市販の医薬品などで治療しようとすると、よくなるものもよくならないばかりか、“直腸がん”などの大きな病気を見逃してしまう危険もあります。
いぼ痔(痔核)
一般的に「いぼ痔」と呼ばれている痔は、肛門部の血のうっ血によって発生する「痔核」のことを言います。
便秘などによるいきみ、肛門への過度の刺激、長時間立ちっぱなし、座りっぱなしの生活が続くことによる肛門部のうっ血によって発生します。
その発生場所が、直腸下端の粘膜下にできたものは内痔核、肛門の肛門上皮下にできたものを外痔核と呼びます。いぼ痔の約8割が内痔核と言われています。
内痔核の症状
内痔核の症状としては、排便時に痛みはないが出血するというものです。
症状が進むと排便時にいぼが肛門外に出るようになり、さらに症状が進むと常にいぼが肛門外に脱出している状態になります。
また、炎症などによって痛みを生じる場合があります。
外痔核の症状
外痔核は肛門皮下の静脈のうっ血により、血豆(血栓)、血のたまったもの(血腫)が肛門の肛門上皮下にでき、強い痛みを伴います。
血栓性の静脈炎を併発すると激痛を伴います。
きれ痔(裂肛)
きれ痔は、太くてかたい便が無理に肛門を通過して、肛門出口付近が切れてしまう痔のことで裂肛と言われています。
きれ痔の症状
肛門付近が切れたことによる痛みと、出血があります。
これが慢性化してしまうと、切れた傷口が潰瘍状になってしまい、排便の後も強い痛みが続きます。
痔ろう
痔ろうとは、排便時(下痢などの時)に大腸菌などの細菌が「肛門小窩」という小さな凹みに進入し、膿瘍を作ることがあります。
多くの場合、膿は導管から肛門内に排泄され、症状は出ないで治療できます。
しかし、この膿がうまく肛門小窩に排泄されない場合は、膿が肛門周辺に溜まり、肛門周囲膿瘍になってしまいます。その膿を体外に出すために別の出口を作ろうとします。
このようにしてできた膿の通り道が痔ろうです。
痔を予防するための生活習慣の改善ポイント
1.バランス良く食べましょう。
バランス良く3食をきちんと食べて、排便習慣を良くしましょう。
2.おしりを適度に清潔にしましょう。
肛門を洗いすぎたり、トイレットペーパーで拭きすぎて、肛門やその周囲に傷がついたり腫れていることがよくあります。
顔を洗う程度にやさしく洗ったり拭いたりしてください。
3.排便は短時間ですませましょう。
5分以上は続けてきばらないようにして下さい。
4.便意があるときは、我慢をしないようにしましょう。
便意を我慢することで排便習慣が悪くなります。
5.便秘や下痢にならないようにしましょう。
便秘できばりすぎて肛門に無理がかかります。
また、下痢でも、肛門に強い刺激があり、疾患の原因となります。
6.体を冷やさないようにしましょう。
冷やすことで血行が悪くなることがあります。
7.同じ姿勢を長時間とらないようにしましょう。
座りっぱなしや立ちっぱなしは肛門をうっ血させ、痔の原因となります。
8.アルコールや刺激物は適量にしましょう。
アルコールも過量になると、肛門が腫れてきます。
また、汗が出るような辛いものも肛門が腫れて痛みが出てきます。